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ほのかな腐臭の香り漂う生活録o女性向注意o
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むーふーふー!!お詫び捧げ絵に素敵サイト、空と雲のあいだのいととさんが
おまけどころじゃない素晴らしいSSをつけて下すったのですよ…!!
魔女っ子ネタ(に限らずですが)は素敵設定になっているので
私の方がウマウマしてる気がします!ごちそうさまです!!←良い笑顔(こ ら
そしていつも思うのですが、仕事が速いです、よ!…いや、私が遅いんですね^ρ^
さて、次に嘘をつくのはいつになるでしょう=w=
寧ろ逆に嘘ついてくださってもかまわないんですけどね!笑
こちらこそ、素敵SS、拍手共に本当に有難うございました!!!




サクライロフルフル(桜色、降る降る)


「・・・・・・・・・・」
「だからもうムリだって言っただろ?」
「・・・だって」

大きなバスケットを抱えたまま、ワタルは泣きそうに顔をクシャリとゆがめました。
二人の住んでる町から少し外れた丘の上。
その丘の上には大きな大きな桜の木が一本。まるでそこの主のようにデンと立っています。
天に向かって何本もの見事な長い枝を伸ばしていますが、その枝にはひとつの花も咲いてません。
濃い緑色の葉っぱを連ねているだけです。ワタルとミツルはその前に佇んでいました。

「今年は暖かかったから、早く花が咲いたんだ。そして先日の大風があった日に全部、散ったんだよ。
見に来たって何もないって言ったのに、お前がどうしても来たいって言うから」
「・・・・だって!前、ボクが住んでたとこには桜の木がなかったから・・・・。すごくすごくきれいな桜の木がこの町にはあるって聞いてたから・・・。初めて見れると思って、ずっとずっと楽しみにしてたんだもん・・・!」

泣きそうだった顔が本当に泣き顔になってワタルは俯いてしまいました。

先週くらいから丘の上の桜が見事に花を咲かせているという話は、町中の噂になっていました。
見た人全てがあんな見事な満開の桜は見たことがない、と挙って感嘆の声を上げていたのでワタルも早く見に行きたくてウズウズしていたのです。
けれどそんなときに限って、宅急便の仕事がたくさん入ってきて目の回るような忙しい日が続きました。
それでもやっと次の日曜はお休みを取って見に行こうと、おお張り切りでいたのです。

けれど早くに満開の花を咲かせてしまった気の早い桜は、先日の季節外れの大風でこれまた気の早いことにサッサとその薄紅色の花弁を全て散らせてしまいました。
見に行っても却ってガッカリするだけだから、止めたほうがいいというミツルにワタルはあきらめきれずに行きたいと駄々をこねてやって来たのです。

でも案の定、全て花が散ってしまったサクラを見て、俯きながらポロポロと涙を流すワタルにミツルは小さくため息をつきました。

「仮にも魔女なんだから、花でも咲かせる魔法を使ってみろよ、と言いたいとこだけどな・・・・」
「またっ・・!人が落ち込んでるのにどうしてさらに意地悪なこというのさぁ!
ボクがそんな難しい魔法なんか使えないって知ってるくせに!」

魔女としては正直自慢できないような事を叫びながら、持っていたバスケットを掲げるとそれでミツルの頭をポカポカやりながら、ワタルは本泣きになってしまいました。

ミツルは自分に向かってくるワタルの両手を、すばやく掴むとグイッと自分のほうに引き寄せて、ほっぺたに転がっていた涙の粒をぺロリと舐めます。

「わっ?!」
「だから、言いたいとこだけどなって、言っただろ?お前がろくに魔法も使えない見習い魔女だって事は重々承知だ。そのためにオレがいるんだからな。お前、オレが使い魔だってこと忘れてないか?」

ワタルは顔を真っ赤にしながら、ミツルが何を言いたいのかわからなくて目をぱちくりさせました。

「主を守るための使い魔は、本来主より強大な魔力を持ってるものなんだよ。ただし・・・」

ミツルはチラリとワタルを見ると、少しだけどうしようか、と言う様な目をしました。
けれどワタルの真っ赤な瞳を見て、また小さくため息をつくとポツリと仕方なさそうに呟きました。

「まぁ・・・いいか」

それでお前が喜ぶんならな・・・そう、かすかに呟くと同時にワタルはミツルが何か呪文らしきものを唱えたのを聞きました。
すると次の瞬間、目も開けていられないようなものすごい大風が一陣、ワタルを取り囲み、吹きすさびました。
ワタルはビックリして思わずバスケットを落として両手で顔を覆います。
なにが起きたのかわからなくて、目を瞑ったままその場に固まってしまいました。するとそっと頭の上に手を置かれ、ミツルのやさしい声が耳元で囁くのを聞きました。。

「目を開けてみろ」

その言葉にワタルがオズオズと両手を下ろし、ゆっくりとゆっくりと・・・・瞬きをしながら目を開くと・・・。

「あ・・・・・」

桜───サクラ、サクラ、桜色。

天も足元も自分を取り囲む全てが、淡紅色の桜色。

────はらはらはらはら、はらはらと。───ひらひらひらひら、ひらひらと。漂う風に。蝶のように。

幾百、幾千の花の衣。目に映る全てが春の色。

さっきまで花びらの一つさえなかったその桜は、いまおそらくその前に咲いていた時期より、これ以上ないくらい見事で艶やかな花をワタルの目前で満開にさせていました。

「わ、あ・・・」

花びらを受け止めるように両手を差し出して、背伸びするワタルの横にミツルがそっと近づいて来ました。
ワタルはミツルを見るとニッコリ微笑んで、片手で涙をぬぐいながらもう片方の手でミツルの手を握りました。ミツルはやれやれと言った感じで笑いました。

「ありがと、ミツル・・・すっごくすっごく、嬉しい・・・!」
「今日だけだぞ。本当は普段、こんな大きな魔法使うわけに行かないんだからな。一応、オレは使い魔の立場なんだから、あまり度を越した魔法を使うと・・・・」
「え?」

そういってミツルは難しい顔をしたかと思うと、胸のあたりを抑えました。そして・・・。「?!まずい、思ったより早・・・・」

ボンッッ!!!

「え?わ?!な、なに?ミ、ミツル?どうしたのっ?!ミツルー?!」

またもや、なにが起きたのかわからなくてワタルがアワアワとしていると、ミツルが掻き消えるように目の前から姿を消しました。
ワタルが驚いて、きょろきょろ辺りを見まわして探すと、足元をチョンチヨンとつつかれました。
ワタルがソーッと下を向いてみると・・・。

「・・・・・・・・え、ええ?!ミツル?」

そこには桜の花びらを体のそこかしこに受け、それを鬱陶しそうに払いながら憮然とした顔の黒猫が一匹、苦々しい顔をしてピクピクとしっぽを揺らし、でも声はいつものミツルの声で言いました。

「・・・・次に魔力をためるまで、この姿でいなきゃならなくなるんだ・・・」

ワタルは目を真ん丸くしながらも、嬉しそうに微笑むとクロネコミツルを抱き上げて、それこそギューッと抱きしめます。

「じゃあ、その間ずーっと抱っこしててあげる!このままお花見しよ?ね!」

ワタルのほっぺに密着して抱きしめられながら───
無数の桜の花びらの散る中、真っ黒なはずのミツルのほっぺが桜のようにほんのり赤くなっていたのにワタルは気がつきませんでした。




───サクラノハナ フルフル  サクライロ フルフル

キミと二人で満開の花。キミと二人で桜色に染まって。

───サクライロ フルフル・・・・・・。

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