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ほのかな腐臭の香り漂う生活録o女性向注意o
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言いそびれた言葉たちのみなさんから蝶素敵SSを頂きました!!!
頂いてからちょっと日が経ってしまったんです、が…!
不思議の国、しかも「夢の終わり」仕様ですよ!!
(分からない人は是非飛んで読みに行ってみよう!)
ナイスなキャスティングと”おそろい”にモエモエ(ぇ)です=w=*
しかもしかも!ラストがちょっと違うバージョンも強引に頂いちゃいました!!(こら^^^
みなさん!本当にありがとうございました!!!

美鶴in wonder land




「おいっ」
 
掛けられた言葉と同時に。
ごん、と鈍く後頭部に容赦なく拳の衝撃が降りる。
 
「な、な」
 
じんじんと広がる痛みに俺はようやく眼を開ける、と。
 
「よぉ、美鶴。時間がないぞ、早く来い」
 
腕組みをして、トップハット(シルクハット)いじりながらうさぎ耳をぴこぴこと動かす、
もう一人のオレがいた。
しっかり、黒のテールコート(燕尾服)を着込んでいる。
ジャケットの左ポケットには、スリーピーク(3つ山)に畳まれた
ポケットチーフ。
シャツはウイングカラーに黒の蝶タイ。
上質なウェストコート(ベスト)のポケットには金の懐中時計。
左目には鼻に掛けるタイプのモノクル(片眼鏡)
きっちり、手には白手袋着用。
 
うそ臭いぐらい文句なしの、正装だ。
、って。
 
「人間にうさぎの耳、が。なぜ生える」
「突っ込みどころはそこか、美鶴」
 
やれやれ、と言わんばかりに肩を竦める動作が。
俺と同じ顔のこいつがすると、なぜこんなに。
不愉快な気持ちになるのか。
 
「まぁいい。美鶴、イツカがお前等をお茶会、に呼びたいんだとさ」
「呼ばれるつもりはない」
「へぇ?お前以外はやつら、もう招待されてるんだが」
 
にこぉ、と胡散臭さ全開の笑み。
ち、と舌打ちをして不愉快感を相手に伝える。
 
どうせ、無駄だろうが。
 
「招待客はお前、亘、小村、宮原だ」
なかなかの、豪華メンバーだろう?と追い討ちを掛けられる。
 
「なんのつもりだ?」
「別に。前回みたいなことはしないさ。さ、行くぞ。大分、遅れてる」
 
すとん、とトップハットを被ると、ぺこんと耳が折り畳まれて後ろ髪と一緒に流される。ほんとに、耳、生えてやがる。
 
「そうそう、お茶会だからな。正装じゃなきゃぁ、な」
 
ぱちん、とやつが指を鳴らす。
気障ったらしいこと、この上ない。
 
違うのは。
俺は白のテールコートにトップハット。
ジャケットの右ポケットにポケットチーフ。
ウイングカラーのシャツには白蝶タイ。
ウェストコートの右ポケットに銀の懐中時計。
右眼にモノクル。
黒と白、左と右。
そう、こいつとはまったくの逆仕様。
 
「まぁ、悪くないんじゃないか?」
「悪趣味だ」
 
こっちの悪態にはおかまいなしに。
じゃ飛べ、と突然突き飛ばされて先は。
いささか、午後のアフタヌーンティーには不似合いな屋外パラソルの真上、もとい。
 
東洋趣味な番傘、の上にどさりと落とされる。
「あらぁ、随分なところから湧いて出るのね?」
「仕方ないだろう、イツカ。少々強引に招待したぞ」
「おかえりぃー!ミツル、いらっしゃぁい、美鶴」
「芦川、睡眠妨害で訴えてやる」
「もう、もういやだ。なんで、俺だけ・・・・!」
 
いつかの。
夢の、あのメンバーどもがめいめいにお茶を飲んで・・・いる?
すとん、と番傘から降りてみる。
 
東洋趣味の番傘。
さんさんと、青い空のもとに広げられた白いテーブルクロス。
テーブルの上には、あふれんばかりのお茶菓子、
 
・・・・・・の残骸。
喰い散らかした、もとい。食べ残された焼き菓子がこれでもか、と
テーブルクロスに鎮座している。
主役のお茶はと言うと。
ティーポットとティーカップがごろんごろんと転がっている。
ついでに言うと、紅茶の染みが真っ白なテーブルクロスに痛々しい。
 
そうして、各々のいかれた格好に軽く眩暈すら覚える。
 
なんだ、このいかれたお茶会は・・・・・!!
 
「亘、かっわいーでしょう?イツカとお揃い!」
「うぅんと、夢だもん、ね。でも、スカートはちょっと・・・・!」
亘、だけならなと心の中で叫ぶ。
イツカと亘は揃いのエプロンドレス。
 
それぞれ、袖とスカートにたっぷりとラッフルがあしらわれている。
イツカは長い袖口、亘は半袖のドレスなんだけども。
袖口とエプロンはアンティーク風に編み上げられている。
スカートはそれぞれ、二段フリルになっており、
スカートの裾からふんわり、しかしたっぷりとしたボリュームのパニエ
が覗く。イツカは黒、亘は水色のエプロンドレスだ。
 
「イツカの方が、可愛いよ」
「えへへ、ミツル大好き!」
 
俺は、ぜっったいにあんなセリフは吐かない。
 
「いかれたお茶会だな、芦川」
「宮原、お前、どこぞのバラを背負ったおとこおんなモドキだ?」
「俺が知りたいね」
 
一昔前に流行った漫画のおとこおんなばりの礼服と、煙管装備の
宮原は言うほど、不機嫌ではないみたいだ。
 
「小村、を見ろ。あの、体を張ったコスプレを」
 
「あぁぁぁしぃかわぁぁぁ」
「小村、残念だ。似合いすぎて掛ける言葉もない」
 
ねずみの着ぐるみ、お決まりのねずみ色で。
もしかすると、某妖怪アニメからお誘いがかかるかもしれない。
 
「お、おまえねぇぇ!!」
あ、しっぽもやっぱり動かすことできるんだなと軽くときめく。
 
って、何考えてんだ俺・・・・!
でも、亘のエプロンドレスはかなり。
いや、すこぶる、ぶっちぎりで可愛い・・・・!
 
「そうそう、美鶴。お前、この間のこと、こいつらに謝ってないそうじゃないか?じゃぁ、今日はしっかり働けよ?」
 
トップハットを優雅に取るとやつはすとん、とイツカの横に腰を下ろす。
 
「ちょっと!美鶴、早く紅茶淹れなさいよ!その為に呼んだ
んだから!あ、イツカさくらんぼの匂いの甘い紅茶しか飲まない!」
「ううんと、僕は。あ!ミルクティーがいいな」
「俺は、ダージリンストレートで。あ、ついでに言うとオータムナルね。
セカンドフラッシュは青臭くて嫌いだから」
「俺はアッサムで。美鶴、お前イツカのは特にこころを込めて
淹れろよ?」
「え、と俺は、」
「小村」
 
その後、小村が眠りねずみらしくテーブルで大人しく眠っていてくれた。
 
 
空は、これ以上ないぐらいに青く澄み渡り、
テーブルにはあふれんばかりのお茶菓子の残骸。
転がった、ティーセット。
 
 
   そう、いかれたお茶会はまだ、始まったばかり。
 
 
 
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